本番に向けてのメンタル管理戦術

東大生スタッフに、特別に試験本番に向けたアドバイスを聞いてみました!

こんにちは。現在、工学系の大学院でシミュレーションについて研究している、I.R.です。
今回、みなさんにお話しするのは、「試験本番に向けて、メンタル面でどんな対策をしたか」です。試験本番はみんな緊張するものです。僕が受験生だった時、試験本番にどんな心構えで臨んでいたかについて、体験を元にお話したいと思います。

 僕は普段、試験本番であまり緊張しないタイプなのですが、それには理由があります。もちろん、性格に依るところも多少はあると思いますが、試験本番で緊張しないための対策を行っているからです。それは、「予め試験形式に対する対策を十分に考えておく」ということです。試験の形式は、高い確率で最近の試験と同じ傾向の問題が出されます。例えば、東大理系国語なら、大問3問で論説文、古文、漢文、出題もすべて記述式、という形式を長く踏襲しています。「漢文、古文、論説文の順に解いて、時間は論説文に50分はかけたいから漢文古文は計30分で抑えて…」のように、その形式の問題に対する対策をよく考えておくことです。そうすれば、すでにやることがわかっているので、「いつものように、この順番で解けばよい」と少し軽い気持ちで本番に臨むことができます。

 これは「緊張すると何が悪いのか」にも関連しています。試験本番で緊張しながら問題を解いていると、深く暗い海に潜って、先がよく見えない中を必死に泳ぐけど、なかなか進まない…というような感覚に陥ってしまうと思います。昔本で読んだのですが、人間は同時に頭で処理できる作業量はある程度決まっているそうです。パソコンに詳しい人なら、RAM(メモリ)と言えばピンとくると思います。緊張すると、緊張によってその「頭の容量」のうちいくらかが使われてしまい、同時にできる作業が減ってしまうので、パフォーマンスが悪くなる、ということのようです。そこで、先に解く順番やおおよその時間配分を決めておくことで、本番でそれらに気を遣わずに済み、問題を解くことだけに集中することができます。

 また、周りの人を見て萎縮してしまうことも緊張の一つの原因になると思いますが、考えを少し変えるだけである程度緩和することができます。(以下の内容は東大受験を想定しています。)「周りが頭よさそうな人たちばかりで…」と考えてしまう人もいるかもしれません。しかしそれは僕ももちろん思いましたし、その「周り」もお互いに同じことを考えているので、心配することはありません。あなたの周りに「数学4完した!!(4問完答した、の意)」と言っている人がいるかもしれません。しかしそれは受験生9000人(東大は受験生約9000人、合格者約3000人)のたった一人ですし、その人も他の科目次第で合格するかどうかはわかりません。また高校偏差値70越えの超進学校の受験生も大勢見かけますが、東大合格者数ランキング上位10校の合格者を合計しても、3000人中約800人です。残りの2200人はそういった超進学校以外の高校からがんばって入った人たちですから、あなたにも十分にチャンスはあります。(データは2016年のものです)

 緊張をすると、良いパフォーマンスを出せなくなってしまいます。なので、難しく考えず、過去問でやったことと同じことを、目の前に並べられた問題でやればいいだけです。東大受験も、模試でD判定E判定連発の僕が受かり、A判定ばかりだった友人が緊張で力を出せず、涙を飲むような世界です。受験は何が起こるかわかりません。難しいことは考えず、普段やっていることを普段通りにやることが、未来を繋いでくれるかもしれません。